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メディカル情報最前線

2013 Autumn

メディカル情報最前線
特集 ブログ活用術
仙台市の土橋内科医院で院長を務める小田倉弘典先生。
ご自身の専門領域である心房細動をテーマにしたブログ「心房細動な日々」が多くのアクセスを集める人気ブロガーです。特にプライマリケア医にとって、ブログをはじめとしたITツールの利用は、医院経営にどのように役立つのでしょうか?
小田倉先生に、そのメリットや活用術をお聞きしました。

PROFILE    小田倉 弘典 先生
1987年東北大学医学部卒業。仙台市立病院循環器科医員、国立循環器センター内科心臓部厚生省研修員、仙台市立病院循環器科医長を経て、2004年に土橋内科医院の院長に。

「ブログを見て来ました」という患者さんが増えています。

  • ブログ「心房細動な日々」をはじめ、ウェブでの情報発信に熱心ですね。
  • ブログは2005年に始めましたが、最初は情報発信というよりも、自分の勉強に役立てるためでした。もともと専門領域の論文は多く読んでおり、読みっ放しではなく問題点を抽出したり骨子をまとめておきたいタイプなんです。それを自分のPCに溜めておくよりも、ブログで発信すれば誰か読んでくれるのでは…と。
  • 現在のアクセス数は、どのくらいですか?
  • 訪問者は1日に7~800人です。ページビューは2000くらいでしょうか。多い時は3000を超える日もあります。
  • それは多いですね!このアクセス数は、日々、実感されていますか?
  • コメント数はそれほど多くないのですが、「ブログを見てきました」という患者さんが結構いらっしゃいます。地元だけでなく、東京からわざわざやって来られる熱心な方もおられます。
  • 先生のブログは、ほとんどが医学論文のアブストラクトです。ブログを見て来院する患者さんは、専門的な内容を理解しておられるのですか?
  • どうでしょうか?内容をきちんと理解するというよりも、専門領域について前向きに発信しているという姿勢が評価されたのではないでしょうか。あの先生、難しい話をしているけど、何か熱心そう…という。やはり継続して更新を続けることが、信頼感の醸成につながるのだと思います。

ブログをやっていることのメリットは、大きく2つあります。

  • ブログのアクセス数が多いのは、「情報の早さ」が群を抜いていることも大きいと思います。どのように情報収集すれば、あれほど早く最新の論文をチェックできるのですか?
  • 1つは、主要な雑誌のネットの更新日にざっと目を通すこと。「The New England Journal of Medicine」「Annals of Internal Medicine」「The Lancet」「BMJ」「JAMA」など。あとはグーグルアラートですね。「心房細動」というキーワードを入れておくと、その日に関連するサイトやブログの情報が全部配信されるので大変重宝します。医療専門サイトの「m3ドットコム」やツイッターからの新着情報も利用しています。
  • ブログの更新頻度が高いのも人気の理由だと思うのですが、どのように時間を捻出されていますか?
  • ブログをアップするのは、寝る前の30分から1時間です。時間を決めて集中するのが続けられるコツかもしれません。
  • ブログをやっていることのメリットは日々感じておられますか?
  • 大きく2つあります。1つ目は、ネットワークが広がったこと。ブログを見て来られる患者さんはもちろん、ドクターからもコメントが来て、それをきっかけに交流が始まることもあります。また私は「日経メディカルオンライン」に「プライマリケア医のための心房細動入門」というコラムを連載していますが、これも編集者がブログに目を止めてくれたからです。2つ目は、自分自身のデータベースとしてこれほど便利なものはありません。参考論文の全文を見たい時もリンクを貼っておけばすぐにアクセスできますし、今ではどこに行っても携帯からアクセスできるようになりました。

ITを「食わず嫌い」するよりまず飛び込んでほしいですね。

  • ブログだけでなくホームページ、Twitter、facebookなど複合的にITを使いこなされていますね。
  • Twitterやfacebookは、個人的な趣味としてやっているようなものです。Twitterはプライベートのつぶやきが多いのですが、今フォロワーが約2500名ほどいるので、ブログを更新したら同時につぶやくようにしてアクセス誘導にも利用しています。
  • facebookは、どのように活用されていますか?
  • 主にネットワークづくりです。同じプライマリケア医の先生同士で、情報交換をするツールとして便利ですね。若い世代の先生は当たり前のようにアカウントを持っているので、触発されたこともありまして。
  • ITを使ったネットワークづくりは役立っていますか?
  • 私が開業したのは2004年ですが、その時に強く感じたのが「診療について情報共有する相手がいない」という孤独でした。ソロプラクティス状況に陥りがちな日本のプライマリケア医にとって、同業者との情報交換は必須であると感じます。私はメーリングリストも主催して「寺子屋勉強会」という症例の相談会をやっています。専門医と開業医が意見交換する場になっており、刺激になりますね。
  • それほど多角的なITを使いこなす、リテラシーはどうやって磨かれたのでしょうか?
  • 何も(笑)。とにかくチャレンジしてみて、使いながら覚えてきました。最低限のネットエチケットは必要ですが特にブログやTwitter、facebookには何ら難しい知識は必要ありません。中にはITアレルギーというか、はなから苦手意識を持っている方もおられますが、「食わず嫌いは損」だと思います。私はITを利用することで、世界が大きく広がりました。今では水道や電気などの生活インフラと同じように必要なものとなっています。
医療法人 土橋内科医院

2004年より小田倉先生が院長を務める土橋内科医院。患者さんの疾患啓発に力を入れており、待合室の本棚に医療関係の書籍を多数並べたり、タブレット型端末「iPad」を置いて、疾患解説アプリで自由に学べる工夫を心がけています。また診療室で患者さんがリラックスできるよう「椅子」を特注にするなど、コミュニケーションにも独自のアイデアを取り入れています。

住所/仙台市青葉区八幡2-11-8 TEL/022-272-9220
診療科目/内科、循環器内科、心臓内科